太ももの付け根あたり(前側)に起こる痛みです
大腿直筋付着部炎(だいたいちょっきんふちゃくぶえん)は子供から大人まで幅広い年齢層でみられます 当院に来院される患者さんの多くはサッカーやダンスをしている小学生の高学年から中学生です サッカーでボールを蹴る動作やジャンプや脚の振り上げなどを繰り返し行うことで 筋肉と骨をつないでいる部分が徐々に傷み炎症を起こしてしまいます
腰からひざまでの骨を前からみた図です
腰に手を当てた時に触ることができる出っ張りは骨盤の上側の出っ張りです その出っ張りの下に手で触れない出っ張り「下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)」があります そしてひざのお皿の下に少し盛り上がったところがあります これを「脛骨粗面(けいこつそめん)」と言います
太ももの前側には大きな筋肉が4つあります
1つめは「中間広筋」
太もも前側の奥にある筋肉です 太ももの骨(大腿骨)の幹の部分からひざのお皿を経由して脛骨粗面についています ひざを伸ばす働きをします
2つめは「外側広筋」
太もも前側の筋肉の中でも外側にある筋肉です 太ももの骨の上の方にある出っ張り『大転子(だいてんし)』と幹の外側の部分からひざのお皿を経由して脛骨粗面についています 膝を伸ばす働きをします
3つめは「内側広筋」
太もも前側の筋肉の中でも内側にある筋肉です 太ももの骨の幹の内側の部分からひざのお皿を経由して脛骨粗面についています ひざを伸ばす働きをします
4つめは「大腿直筋」
骨盤の下の出っ張り『下前腸骨棘』からひざのお皿を経由して脛骨粗面についています ひざを伸ばす働きのほかに股関節を曲げるという働きがあります
この4つの筋肉を合わせて「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と言います この4つの筋肉は別々のところからスタートして下の方で合わさり1つの腱『膝蓋腱(しつがいけん)』となって ひざのお皿を経由して脛骨粗面についています ですので4つの筋肉が協力してひざを伸ばすという働きをします 中間広筋と外側広筋と内側広筋は「ひざを伸ばす」働きだけですが 大腿直筋だけはもう1つ「股関節を曲げる」という働きもするのです
ボールを蹴るときの大腿四頭筋の働きを見てみましょう
イラストにはないですがまず太ももを後ろに引きます 次に股関節を曲げていきます この時に大腿直筋が働きます そして4つの筋肉が協力してひざを伸ばしてボールを蹴ります ボールを蹴るという1つの動作でも「大腿直筋」だけ股関節を曲げてひざを伸ばすという2つの動きをするので 働きは他の筋肉に比べて2倍です 大腿直筋が傷んでしまうと筋肉は伸びにくく縮こまり筋肉と骨をつないでいる腱が炎症を起こします
痛みをがまんして運動を続けていても治ることはありません 悪化させてしまうと治りも遅くなります 太ももの付け根部分に痛みを感じたら早めの来院をお勧めします
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